2014/04/06

台風というトラブルシミュレーション

ベンチャーは地方でチャンスをつかめ!
〜沖縄で飛躍的に成功する40の法則



 沖縄は、1972年に本土復帰を果たしましたが、それまで米国の統治下にあった影響から、交通システムは従来通り「車は右側通行」のままでした。その6年後、1978730日、沖縄では一夜にして、車は右側通行から左側通行に移行した実績を持っています。この一大イベントは、730(ナナサンマル)とよばれ、沖縄の人々の記憶に残っています。

 一口に右から左といっても、もしあなたがバス会社の役員だったら、どうします、反対側についたドア? もしあなたが、警察や国交省の役人の場合、どう切り替えますか、交通標識? いやはや、本当に当時の方々には頭が下がります。

 歴史的なチェンジの経験はさておき、沖縄では、毎年、実践的なシミュレーションを行っています。それは、台風の対応です。那覇の場合、ほとんどの企業が、バス、モノレールなどの公共交通機関が運航停止になる場合、会社や学校は休みになります。東京から沖縄にやってきたばかりのときには、たかだか台風ごときで、会社が休みになったりして、なんだか大げさだなぁなんて思っていたのですが、最近はこの実践的な災害トラブルシミュレーションが、沖縄のビジネスマンの変化に対する対応力を維持・向上させているのではないかと思うようになりました。

 航空会社でもそうですが、悪天候時や機材トラブルに備え、ルールを決めたり、訓練を行っています。沖縄のホテル関係者であれば、キャンセルの対応、現在の宿泊者に対する情報提供、スケジュール変更提案を行うことでしょう。一般のサラリーマンでも家族の安否確認が済めば、アポイントの変更や、自宅での作業切替などをてきぱきとこなしていきます。

 一方、東京など大都市圏はどうでしょうか? どこか局地的に大雨が降るだけで、たちまちビジネスの停滞のみならず、帰宅すら困難になる場合があります。本稿では何度も繰り返していますが、東京などの大都市圏において、超効率で業務推進ができている所以は、過去の環境と経験の延長線上に、濃密な交通や情報システム、ライフラインを築いているからに他なりません。しかし、不穏なことにその過去の前提条件が崩れ始めています。230kmと離れていないところに存在する壊れた原発や南海トラフ地震のリスクに加え、地球温暖化の影響のせいか、沖縄に来るはずの台風が本州方面へ向かったり、逆に大雪が降ったり・・・。

 沖縄という小さな島に住んでいると、自然の脅威に対する感覚が敏感になり、それらが牙をむく事態に個人も社会も備えています。大都市圏に長く住んでいると、自分も含め、こういう変化にあまりにも鈍感になってしまい、東京に大規模な台風が直撃することがわかっていても、フツーに出社してしまいがちです。

 幸いにして、地震と異なり、台風は事前に脅威の存在が明らかになり、進路についてもだいたい予想ができます。したがって、沖縄では台風災害に関するシミュレーションを経験的に繰り返し、変化に対する感性と対応力を向上させています。あなたも沖縄でそんな感性を磨いてみませんか?


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