2014/08/07

台湾 IDEAS Show とその周辺事情

 IDEAS Showは、台湾最大のスタートアップ系カンファレンスで、先月7/24-25に台北で開催されました。
 今年で7回目の開催となり、規模的にはこんな感じ。

 来場者:2,000
 出展ベンチャー:52
 ピッチ登壇ベンチャー:33
  内訳は、台湾(20)、韓国(6)、日本(4)、香港(2)、ニュージーランド(1

 スタートアップ系カンファレンスについて、ちょっと補足すると、オペレーションは、だいたい世界共通でして、すでに成功を収めているベンチャーのファウンダーや経営者によるKeynoteがあり、別会場では、わさわさとベンチャーがブース出展をしており、メーンイベントとして、予選を勝ち抜いてきたベンチャー達が、世界中から集まってきたVCやインフルエンサーに自社サービスのピッチ(短いプレゼンテーション)を次々に繰り出していくというもの。

 一応、イベントとして、その場で「賞」が決まって、メディアにも露出し、今後なにかいい出会いが起きる可能性を向上させ、一定のステータスを得ることができるわけです。しかし、ベンチャーとしてはそのメリットもさることながら、相性のよいVCとその場で情報交換し、個別に深い関係になっていくという即決的なシナリオもたいへん魅力的なわけです。

 さて、そんなめちゃくちゃ面白いイベントなのですが、残念ながら、日本ではあまり知られていません。IDEAS Showを報道してくれるのは、日本のスタートアップ業界ではメジャーな、THE BRIDGEさんぐらい。例えば、IDEAS Showに限らず、アジアでは、次のようなスタートアップ系カンファレンスが例年春頃定期開催されていますが、報道も少なければ、日本のベンチャーの参加も少ないというお寒い状況。ベンチャーの国際展開はアメリカからというシナリオだけじゃないですよー。

 例えば、アジア系イベント開催状況はこんな感じ。
 毎年、会場をアジア各都市で回遊しているSTARTUP ASIAや、規模的にもっとも大きそうなGMICが今年、東京初開催ということもあって、アジア系ベンチャーイベントが日本でも注目を集めることを願っています。


 GMIC 5/5-6 北京
  Global Mobile Internet Conference
  春は北京、秋にはサンフランシスコで開催。
  今年は、7/11に東京で初開催。
 
 be LAUNCH 5/14-15 ソウル
  今年で3回目となる若いイベント。

 Echelon 6/10-11 シンガポール
  かねてより予選会を東京でも開催しているので、日本からの参加が唯一多め。

 IDEAS Show 7/24-25 台北
  日本からの参加が少なく、賞を取りに行くには穴場かも(^ ^;

 STARTUP ASIA 9/3-4 東京、11/26-27  ジャカルタ
  開催都市固定でないイベント。スタッフ大変そう(^ ^;
  今年はついに東京初上陸!


 さて、話は、台湾・IDEAS Showに。

7/23(水)
 前日の台風10号の影響で那覇発 peach 便は、4時間半の延発。

 今回の出張で唯一の自由時間が早速消滅・・・orz
 Airbnbで確保したアパートから招待されていたVIPディナーの会場へ向かう。

 実は、半年ほど前、IDEAS Showの主催者である、財団法人 資訊工業策進會(通称トリプルアイ III Institute for Information Industry)さんとこんなシゴトをしていたことから、関係者イベントに出入りすることができたのです。

 ちなみにこの記事の写真提供も私(^ ^)v

 VIPディナー参加者は約40名。イベントの前日入りしているスピーカーやジャッジ(審査員)も兼ねるVC、メディアとそうそうたる顔ぶれ。
 30分ほどアクティブな名刺交換、あいさつ、自己紹介の後、座席が指定された円卓に別れ、会食。
 それにしても韓国からの参加者が多いなぁ、と思ったのもそのはず、韓国・未来創造科学部(日本でいえば科学省)と韓国・情報通信産業振興院(NIPA)がIDEAS Showのゴールドスポンサーとして今回初めて名前を連ねています。おー。日本政府もがんばってほしいなぁ・・・。

Lumix GMを持っていたことから撮影データは私のもの、ウシシシ・・・
 翌日から2日間、彼らとは、会場の席で、ランチの席で、パーティの席で、たびたび顔を合わせることになり、名刺交換だけにとどまらない懇親を深めることができました。役得、役得。


7/24(木)
 いよいよ本番。会場は台湾大学キャンパス内の国際会議センター。

 受付でVIPの名札をもらうのはいいのだけれど、VIPは色紙にサインしろということで、一応しておきましたが、「これ誰?」状態になっていないか、かなり、不安です・・・。

 
 
開場したばかりの写真なので、空席が目立っていますが、1時間後には補助椅子と立ち見の観客でホール後方はあふれていました。

 初日は主に、基調講演(Keynote)。ウェアラブルデバイス、仮想通貨、新しいハードウェアベンチャー、台湾でもはじまったハイヤー手配サービスUberなど。

 講演者・講演内容の一覧はこちら

 会場はメインとなる、このカンファレンスホール以外に3つあり、観客は自分の興味関心に応じて隣接した4つの会場を回遊します。



アレクサンドリアホール(初日のみ)
 シンガポールや台湾のスタートアップの事業プレゼンテーションを次々に行っています。シンガポールからやってきた9社のベンチャーはブース出展をせず、小さなアレクサンドリアホールでのアピールのみ。IDEAS Showに参加する前には、香港のイベントに参加していたようです。


 公開されていたスケジュールはこの通りなのですが、マレーシアの話がキャンセルされるなどだいぶ変更があるようで、会場前に貼りだされているスケジュールを再度、現場確認するとよいでしょう(^ ^;

 展示会場は2つのホールに分かれています。


プラトンホール
 ヘルスデバイスなどハードウェアベンチャー(7社)
 クラウドサービス(25社)
 起業家育成教育・交流機関(2社)



ロックホール
 韓国ベンチャー(10社)
 アプリ系ベンチャー(10社)



ここで日本からピッチ登壇する4社を紹介します。

 グラムス株式会社(大阪府堺市)
  zenphotomaticというEC向け、自動写真加工クラウドシステムを提供。
  商品写真をはっきりくっきり自動レタッチしてくれる。

 株式会社キッチハイク(東京都渋谷区)
  KitchHikeという、世界中の食卓で料理を作る人と食べる人をつなぐ、マッチングコミュニティサイトを運営中。
  野村総研、博報堂をスピンアウトしたメンバーが起業。

 パペルック株式会社(東京都渋谷区)
  papelookという女性向け写真切り抜きアプリを提供中。すでに1000万ダウンロードを果たし、DGインキュベーション(デジタルガレージグループ)、三菱UFJキャピタル、Open Network Labから出資を受けている。

 Brand Pit(東京都)
  ソーシャルメディアに投稿された商品画像を解析し、独自のマーケットリサーチを行う。ジョークのような社名だが、いたって真面目なサービスで、そのギャップが興味深い。
  創業者がシンガポール人であることから、IDEAS Showのガイドブックにはシンガポール出自となっていましたが、本社・活動拠点は東京。


 夜は、CEO Night。招待者は170名。てっきり、参加スタートアップのCEOを対象としたパーティと思いきや、どちらかというと関係者系パーティでした。さすがに参加ベンチャーは明日のピッチに備え、パーティどころではありませんからね。
 101近くのATT 4 funビルのタイ料理店を貸し切り。昨日と違って、人が多すぎて話のきっかけがつかみづらく、前夜知り合ったVIPたちに一通り挨拶し、1時間ほどで早々に退却・・・orz



7/25(金)
 VIPディナーで知り合った、Thaddeusの隣の席に座わったとたん、質問攻めにあう。
「君は興味深い活動をしているが、ローカルな沖縄でどうやって成功しようと考えているのか? 沖縄はそんなにユニークなのか?」

 質問に答えていたら「面白い! それe27で記事にしてくれ」と頼まれ、もちろん快諾。e27とは、スタートアップに特化したオンラインメディアで、さきに紹介したスタートアップカンファレンスEchelonの主催者である。Thaddeusはそのe27の共同創業者。







Thaddeus(写真右)がモデレータを務めるパネルで最終日の幕が開け、いよいよ、IDEAS Showメーンイベント。ベンチャーのピッチがはじまる。
左から、GREE Ventures(シンガポール)、台湾のVC・Pinehurst advisors、同・AppWorks Ventures、韓国のVC・K CUBE Ventures



 ピッチは1チーム6分間。時間を過ぎるとマイクを切られ、プレゼンは強制終了。質疑応答はなく、コメディアン(?)二人組の進行でテンポよく進む。感心したのはこの彼らで、笑いをとるだけでなく、登壇者の使用言語でことばを使い分け、おまけにプレゼン内容を明らかに熟知したうえで、鋭いつっこみをプレゼンターにいれること。レベル高し。見習わないといけないですね。

 ピッチを次々に15チーム実施。ランチをはさんでさらに18チーム。さすがに、ジャッジ(審査員)もスタッフもヘトヘトになってきます。

 ジャッジのほとんどは、英・中のバイリンガルにもかかわらず、7割近くのチームは英語によるピッチでした。他の国のコンテストも視野に入っているのかもしれない。 
 プレゼンは情熱的であるべきともいうが、やはり、絶対的英語力が不足すると伝わらない、賢くみえない、自信がない印象になってしまい、実際、受賞チームはすべからく英語能力が著しく高かったです。







 さて、日本からの参加では、グラムス社(ZenFotomatic)が見事、Far Eastone Award(企業賞)を受賞。おめでとうございます!
※Far Eastone(遠傳電信)は
台湾の大手通信キャリア

 そして、Brand Pitが、もっとも評価が高い、審査員賞(クラウド部門)を受賞。
 すごい!
 
 ピッチの様子とその他の結果は、THE BRIDGEの記事に掲載されているので、参照してください。

 関係者のみなさまお疲れさまでした。来年は、日本からももっと多くのスタートアップがIDEAS Showに参加して、素晴らしいビジネスチャンスをつかむことを願っていますし、私自身、応援します!!

来年もぜひ、VIP招待でよろしくお願いしますー(^ ^)v







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